- カテゴリ:
- インタビュー
第3節試合コラム『これぞTLの洗礼か。我慢、我慢、我慢』
挑む。トップリーグ(TL)昇格後、初の秩父宮ラグビー場。日野レッドドルフィンズが、TL前季4位のトヨタ自動車ヴェルブリッツに追いすがるも最後にはスコアを開かれた。細谷直監督は言葉に悔しさをにじませた。
「7点差に詰め寄って…。ラスト10数分間。やっぱり、トップリーグの洗礼を受けました」
土曜日の夕方の試合だった。ダブルヘッダーの1試合目。8千6百人が詰めかけたスタンドは、日野のファンのTシャツでほぼ赤く染まっていた。前節は1点差での惜敗。それだけに、選手たちの気持ちはより充実していたはずである。覚悟、決意…。彼我の戦力を比べた場合、日野としてはFW戦、とくに自慢のスクラムで圧力をかけていく作戦だった。だが、最初のスクラムでコラプシング(故意に崩す行為)の反則をとられてしまった。リズムが狂う。
タッチに蹴り出されてのラインアウト。波状攻撃を許し、目下売り出し中の日本代表のホープ、トヨタのフランカー姫野和樹に中央に飛び込まれた。さらに、5分後、またも姫野に突進を許し、連続でトライを奪われた。悔しいけれど、24歳の馬力たるや。CTB坂本椋矢、WTB小澤和人がタックルに入りながらも、パックを外された。
「先手必勝」はチャレンジャーの鉄則であろう。だが、接点でやられ、受けてしまった。ここで3-14。細谷監督は振り返った。「立ち上がり、トヨタさんの圧力をそのままスコアにされてしまったことが悔やまれるところです。でも、やっていく中で、だんだん、相手を過大評価することなく、選手たちは“イケる”という気持ちになっていったようです」
ラグビーとは、挑みかかる気概があるなら格上にも対抗できる。ディフェンスを立て直し、激しいタックルで相手のミスを誘うことも多くなった。肉体のぶつかり合いで、フッカーの木津武士、フランカーの村田毅主将が相次いで負傷退場する。でも全員がからだを張る。SO染山茂範がPGを着実にけり込み、9-15で前半を折り返した。
後半、流れはいい。ディフェンスの鋭い出足からリズムをつかみ、前に前に出る。序盤のロック笠原雄太、フランカーのアッシュ・パーカーの猛タックル、交代出場のフランカー藤田哲啓のジャッカルに心がふるえた。
後半8分。ゴール前のチャンス、左ラインアウトからモールを押し込み、崩れてのラックからナンバー8の千布亮輔がサイドを突く。さらにプロップのパウリアシ・マヌがボールを持ち出し、相手の出足を止めた。ラックから素早く左に回し、SO染山が左ライン際のWTB中園真司にロングパスをつなぎ、左隅に飛び込んだ。14-21と追い上げた。
ここから我慢比べである。勝負所である。中盤、インターセプトから、相手に独走を許したが、懸命にバッキングアップしたSO染山が“必殺タックル”で食い止めた。
染山の述懐。「あそこは、がむしゃらだった。チームのため、必死に戻りました」
冒頭の「トップリーグの洗礼」とは特にラスト20分間の攻防を指す。勝負どころ、相手がミスを犯すまでディフェンスで我慢できるか。逆にミスやペナルティーを犯さずトライで畳みかけることができるかどうか。TLでの経験がものをいうのだった。
肝心なところで日野はディフェンス網を破られ、トヨタに3トライを追加された。後半26分の失トライはともかく、点差を17点と広げられる後半29分の失トライが痛かった。結局、14-36で試合終了となった。
この試合、TL150試合出場となった40歳プロップの久富雄一は複雑な表情をしていた。記録達成の喜びと敗戦の悔しさと。
「スクラムで相手にプレッシャーをかけたかった。試合後、(150試合出場の)セレモニーがありましたけど、負けたということが引っかかっていて」
若さを保つ秘訣は。
「あまり自分では意識していません。自然体です。自分としてはまだ20代のつもりですし、メンバー表を見て40歳というのを見るとダメージを受けるくらいです」
副将の染山は言った。
「全体として、セットプレーで圧力を受けてしまい、僕らの思うようなアタックができなかったことが今日の敗因だと思います」
これで初勝利の後、2連敗となった。TLはコンタクトの強度が違う。だから、どうしても負傷者が続出する。が、細谷監督は言葉に力を込めた。
「(けが人が出るのは)トップリーグであり、ラグビーでありますから…。控えの選手がしっかり準備をしてくれていますので、次の節も(選手たちが)心折れることなくしっかり戦っていきたいと思います」
次の相手は、NTTコミュニケーションズ(9月22日・宮城)である。どこで勝負するのか。互いを信じ、考え、挑みかかる。ああ“いばらの道”が続く。
細谷直監督 後半にファーストスコアをしっかりとれて、7点差に詰め寄ることができました。でもラスト10数分間、やっぱりトップリーグの洗礼を受けました。これはいい経験になりました。負けてしまいましたけど、次の試合に向けて、再スタートを切りたいと思います。
染山茂範副将 接点でどんどん前に行こうと話をしていたんですけど、受けてしまって、前半はああいう形になってしまいました。後半、しっかり修正できて、トライもとることができたのですが…。セットプレーで圧力を受けてしまい、僕らの思うようなアタックができませんでした。
Text by 松瀬学
「7点差に詰め寄って…。ラスト10数分間。やっぱり、トップリーグの洗礼を受けました」
土曜日の夕方の試合だった。ダブルヘッダーの1試合目。8千6百人が詰めかけたスタンドは、日野のファンのTシャツでほぼ赤く染まっていた。前節は1点差での惜敗。それだけに、選手たちの気持ちはより充実していたはずである。覚悟、決意…。彼我の戦力を比べた場合、日野としてはFW戦、とくに自慢のスクラムで圧力をかけていく作戦だった。だが、最初のスクラムでコラプシング(故意に崩す行為)の反則をとられてしまった。リズムが狂う。
タッチに蹴り出されてのラインアウト。波状攻撃を許し、目下売り出し中の日本代表のホープ、トヨタのフランカー姫野和樹に中央に飛び込まれた。さらに、5分後、またも姫野に突進を許し、連続でトライを奪われた。悔しいけれど、24歳の馬力たるや。CTB坂本椋矢、WTB小澤和人がタックルに入りながらも、パックを外された。
「先手必勝」はチャレンジャーの鉄則であろう。だが、接点でやられ、受けてしまった。ここで3-14。細谷監督は振り返った。「立ち上がり、トヨタさんの圧力をそのままスコアにされてしまったことが悔やまれるところです。でも、やっていく中で、だんだん、相手を過大評価することなく、選手たちは“イケる”という気持ちになっていったようです」
ラグビーとは、挑みかかる気概があるなら格上にも対抗できる。ディフェンスを立て直し、激しいタックルで相手のミスを誘うことも多くなった。肉体のぶつかり合いで、フッカーの木津武士、フランカーの村田毅主将が相次いで負傷退場する。でも全員がからだを張る。SO染山茂範がPGを着実にけり込み、9-15で前半を折り返した。
後半、流れはいい。ディフェンスの鋭い出足からリズムをつかみ、前に前に出る。序盤のロック笠原雄太、フランカーのアッシュ・パーカーの猛タックル、交代出場のフランカー藤田哲啓のジャッカルに心がふるえた。
後半8分。ゴール前のチャンス、左ラインアウトからモールを押し込み、崩れてのラックからナンバー8の千布亮輔がサイドを突く。さらにプロップのパウリアシ・マヌがボールを持ち出し、相手の出足を止めた。ラックから素早く左に回し、SO染山が左ライン際のWTB中園真司にロングパスをつなぎ、左隅に飛び込んだ。14-21と追い上げた。
ここから我慢比べである。勝負所である。中盤、インターセプトから、相手に独走を許したが、懸命にバッキングアップしたSO染山が“必殺タックル”で食い止めた。
染山の述懐。「あそこは、がむしゃらだった。チームのため、必死に戻りました」
冒頭の「トップリーグの洗礼」とは特にラスト20分間の攻防を指す。勝負どころ、相手がミスを犯すまでディフェンスで我慢できるか。逆にミスやペナルティーを犯さずトライで畳みかけることができるかどうか。TLでの経験がものをいうのだった。
肝心なところで日野はディフェンス網を破られ、トヨタに3トライを追加された。後半26分の失トライはともかく、点差を17点と広げられる後半29分の失トライが痛かった。結局、14-36で試合終了となった。
この試合、TL150試合出場となった40歳プロップの久富雄一は複雑な表情をしていた。記録達成の喜びと敗戦の悔しさと。
「スクラムで相手にプレッシャーをかけたかった。試合後、(150試合出場の)セレモニーがありましたけど、負けたということが引っかかっていて」
若さを保つ秘訣は。
「あまり自分では意識していません。自然体です。自分としてはまだ20代のつもりですし、メンバー表を見て40歳というのを見るとダメージを受けるくらいです」
副将の染山は言った。
「全体として、セットプレーで圧力を受けてしまい、僕らの思うようなアタックができなかったことが今日の敗因だと思います」
これで初勝利の後、2連敗となった。TLはコンタクトの強度が違う。だから、どうしても負傷者が続出する。が、細谷監督は言葉に力を込めた。
「(けが人が出るのは)トップリーグであり、ラグビーでありますから…。控えの選手がしっかり準備をしてくれていますので、次の節も(選手たちが)心折れることなくしっかり戦っていきたいと思います」
次の相手は、NTTコミュニケーションズ(9月22日・宮城)である。どこで勝負するのか。互いを信じ、考え、挑みかかる。ああ“いばらの道”が続く。
細谷直監督 後半にファーストスコアをしっかりとれて、7点差に詰め寄ることができました。でもラスト10数分間、やっぱりトップリーグの洗礼を受けました。これはいい経験になりました。負けてしまいましたけど、次の試合に向けて、再スタートを切りたいと思います。
染山茂範副将 接点でどんどん前に行こうと話をしていたんですけど、受けてしまって、前半はああいう形になってしまいました。後半、しっかり修正できて、トライもとることができたのですが…。セットプレーで圧力を受けてしまい、僕らの思うようなアタックができませんでした。
Text by 松瀬学


