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インタビュー

トップリーグ 順位決定3回戦コラム『生きるか死ぬか。次こそ、今季の総決算を』

 こんな幕切れがあっていいのだろうか。終了ホーンと同時に逆転トライを奪われるとは。日野レッドドルフィンズの細谷直監督も、村田毅主将も、ため息交じりにこう、漏らした。「ショックだった」と。
 記者会見。細谷監督は口を開いた。
 「毎試合、そうですが、とくにこの試合は絶対、勝たないといけない試合でした。なのに、最後の最後に…。相手の強みを引き出してしまった」
 トップリーグの最終戦、13・14位決定戦だった。勝つと負けるとでは、入替戦の相手となるトップチャレンジのチームの戦力がおおきく違ってくる。だから、トップリーグ残留を見据えると、この試合を何が何でも制して、13位となっておきたいところだった。
 相手の宗像サニックスは3カ月半前のトップリーグ開幕戦で快勝(33-3)したチームだった。だが、南アフリカ代表の新鋭、フルバックのカーウィン・ボッシュら新外国人を補強し、戦力は段違いとなっていた。勢いもあった。村田主将は「みんな、開幕の時とは別のチームだとわかっていた」と言い切る。
 相手の強みが、突破力のある外国人選手のランを主体とした、アンストラクチャ(崩れた局面)での展開力だった。だから、日野はまず、スクラム、ラインアウトのセットプレーで重圧をかけていった。40歳の左プロップの久富雄一、フッカー木津武士、右プロップ村上玲央のフロントロー陣を軸とし、スクラムを押し込んで何本もコラプシング(故意に崩す行為)の反則をもぎとった。
 ラインアウトもほぼ完ぺき、ゴール前のそれではモールを押し込んでトライももぎとった。前半の中盤にはラインアウトで村田主将が好捕し、つないで、つないで、再び主将がもらい、40㍍を走り切ってトライを加えた。村田主将はこの日、30歳の誕生日だった。日野応援団からは「ハッピー・バースデー・トゥ・ツヨシ~♪」の合唱が巻き起こった。
 プランは狙い通りに進んでいた。だが、時折、もろさが顔を出す。80分間、フィジカルを持続できないのか。球際が甘くなる。ミスが起き、ディシプリン(規律)が崩れるのだった。終盤、中途半端なパントキックを蹴って、相手の反撃を許してしまった。
ヘイデン・クリップスが相手のボールを故意にはたき落としと見られ、まさかのシンビン(10分間の一時退場)を受けた。グラウンドにいたカメラマンによると、クリップスは天をあおぎ、「What! I did!(おれは何をやってるんだ!)」と大声を張り上げたという。
 我慢できない。勝ち切れない。これも、チームとしての経験値不足か。大事な試合を落とした。村田主将はこう、つぶやいた。
 「悔しい誕生日となりました」
 続けて。
 「最後の部分で自分たちのもろさが出たのかなあ。ディシプリンのところでしょうか、僕らが我慢しきれずに、やってしまったペナルティーが多かった。規律の部分はチームに言い続けて、よくはなってきているとは思うのですが」
 もちろん規律における意識は大事だが、体力、技術も無関係ではあるまい。ペナルティーは、相手7つに対し、日野は9つ、犯した。とくに一人少なくなるシンビンが痛い。
 結局、勝ち切れなかった。これで昇格1年目のトップリーグではカップ戦を除けば、2勝8敗に終わった。1トライ(5点)差内の惜敗が2つ。幾たびも屈辱を味わい、悔しい思いもしてきた。
 細谷監督は「まったく満足いくものではありません」と総括した。次は入替戦(23日・熊谷ラグビー場)、相手が古豪近鉄だ。負けると、トップリーグから陥落する。
 「絶対、トップリーグにい続けるんだという気持ちを強く持ち、この1週間、踏ん張っていきたい。近鉄にチャレンジする。その決意をみんなで固めないといけない」
 村田主将も言葉に悲壮感を漂わせながらも、自信をのぞかせた。
 「いまの悔しさを忘れずに、来週、近鉄に挑みたい。1年間、トップリーグでもまれた実力をぶつけていきたい。いい形でシーズンを終えるようにします」
 よほどショックだったのか。スタンドには泣いている女性ファンの姿もあった。スタジアムの帰り、たまたま、日野応援団のグループと一緒になった。10人程の人々がみな、打ちひしがれ、地面を見ながら歩いていた。次はファンに歓喜の勝利を。
 Live or Die。生きるか死ぬか。日野は今シーズンやってきたことを信じ、今季の総決算となる近鉄戦にすべてをぶつける。

細谷直監督 近鉄戦まで、気持ちを切り替える時間を与えられている。しっかりと準備して、我々のラグビーをするしかありません。攻守の切り替えをもう少し組織として集中的にやっていかないといけないと思います。

村田毅主将 ゲーム全体を通しては、いい部分もあったんですけど、最後の部分で自分たちのもろさが出てしまったのかな。気持ちをどう切り替えて次の試合に挑むかが、一番大事なことだと思います。僕が昔(NECで)戦った近鉄とはまた別のチームになっていることでしょう。先入観を持たず、イチから相手チームを分析し、戦っていきたい。

Text By 松瀬学

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