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インタビュー

ジャパントップリーグカップ戦プールA 第2回戦 栗田工業ウォータガッシュ戦コラム

『勝って反省、先の栄光へ』

 “勝って反省”はスポーツ界の理想ではなかろうか。日野レッドドルフィンズは「勝ち点5」を確保した。でも、試合後、ピッチに並んだ選手たちに笑顔はなかった。
 「満足? 全然、してないですね」。百戦錬磨のフッカー、木津武士はそう漏らし、顔をゆがめた。スコアは40-12、トライ数が6本-2本。数字は「快勝」を示しながらも、内容では苦しんだからか。
 「いいところ、どこか、ありましたか? 自分らが練習してきたアタックを精度よくやっていこうとしていたのにミスが多かった。スクラムに関しても、押し急いで、逆にペナルティーになってしまって…」
 この日、左プロップに入ったのが、2年目の23歳、井越慎介。アピールしようと張り切り過ぎたのだろう。時折、組む、押す、のタイミングが乱れた。反則をとられたこともあった。木津は反省した。「(井越を)もっと賢く、スマートにリードしてあげればよかったですね」と。
 日野はトップリーグ、相手の栗田は下部のトップチャレンジリーグである。マインドセット(心構え)が難しい。個々がシステムを無視し、個人プレーに走りがちになる。
 とくに選手の挑みかかる気概が薄れると、球際のプレーが甘くなる。例えば、ブレイクダウン。チーム内では相手を乗り越えて、ポイントの「50センチ」向こうを支配しようと言い合っているのにそれができてなかった。結束も弱くなり、結果、味方のスクラムハーフがプレッシャーを受ける形になった。
 細谷直監督は「我々のやりたい展開にはまだ程遠く、ミスが積み重なったという課題が残りました」と反省した。
 「(目指した展開を)やれなかった原因は、ひとつはブレイクダウンがまだ安定していなかったから。あとは、エッジ(端)にボールを運んでいく切り返しのところ、近場のパワーで攻めていくところでのランナーのミスが多すぎました」
 試合で光り輝いたのは、フルバックのギリース・カカだった。リオ五輪7人制ラグビーのニュージーランド代表の29歳。センスの良さを発揮して、3トライをマークした。
 新加入のロック、38歳の北川俊澄はラインアウト、モールで抜群の強さを発揮した。ゲームキャプテンの35歳、佐々木隆道は接点でからだを張った。若手では、スクラムハーフの23歳、橋本法史がよくボールをさばき、24歳のウイング竹澤正祥は何度も快足を飛ばしてみせた。
 チームとしては過日、元日本代表のプロップ浅原拓真(元東芝)の入団を発表した。このカップ戦に出場はできないが、選手層は間違いなく、厚くなっていっている。クリップスは胸を張った。
 「チーム力は去年より、すごくよくなっている。アタックシステムが変わり、いいサインプレーも増えた。チームがいい方向に向かっているけど、ビルドアップを図っている最中です。まだまだ目指しているレベルには到達していません」
 ことしのキーワードの『日野ピクチャー』、あるいは『日野イムズ』。その要諦は、戦術の徹底と意思統一にある。苦悶と熟慮の先の栄光へどう結ぶのか。試合の課題をどう克服し、次に生かすのかにかかっている。

 細谷直監督 (ゲームの)入りが悪かった。ディフェンスについては、セットプレーで内側のウイングとの連携が悪いのがあったけれど、全体的にはよくできたかなと思います。ただ、ディフェンスでのペナルティーが多かった。次の試合(vs清水建設=7月6日・駒沢)にフォーカスしていきたい。トップリーグの一員の責任として、しっかりしたゲームをお見せしたい。

 ヘイデン・クリップス 最初、チャンスをつくり出したけれど、それを取りきれなかった。システムをやり切るところを修正していきたい。ウェットコンディションでも、対応する力を付けなければいけない。改善点がいっぱいあるのはいいことだと思う。
 
       Text By 松瀬 学

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