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ジャパントップリーグカップ戦プールA 第3回戦 清水建設ブルーシャークス戦コラム
『ファンにも見えつつある“日野ピクチャー”』
「パーフェクトではありません」。
試合後の記者会見で、この日のゲームキャプテンを務めたニリ・ラトゥは言った。76対12。トライ数12対2という結果の後に。それでも、現在成長を続ける自チームの、特に若い選手たちへの称賛は惜しまなかった。試合は、毎回毎回常に成長への糧なのであり、成長は続けている、と。
前半開始早々の先制トライまでの時間帯にその成長の跡は現れていただろう。
マイボールキックオフから敵陣深くへ蹴り込むキック。高々と上がったボールに対し14番の快速WTBチョンが猛然とチェイス。タックルはかなわぬもプレッシャーを与え、続くフォワード7番FL西村、3番PR村上ががしっかりと相手を止める。ラックから出た相手ボールに対しても次のフォワード陣5人がディフェンスラインからプレッシャーをかけ2番HO崩がタックル。結局、相手のスタンドオフ――今年清水建設に新加入の大物、オールブラックスの33キャップを誇るルーク・マカリスター――にはタッチキックの選択肢しか与えなかった。そこからは当然マイボールラインアウト。まずはディフェンスでプレッシャーをかけ続けることには成功だ。
その後は何度も練習を重ねたラインアウトモールから前進、さらには相手のペナルティを誘い、左タッチライン側へ蹴りだし相手22m陣内で再度マイボールラインアウト。
すかさず「イケ、イケ~、ヒ~ノ!」と観客席からは熱い声援が飛ぶ。
日野のアタックの開始だ。まずはモールで前進。その後短いパスを受けたFWが右へボールを運びラックを作ること3回。さらに長いパスからバックスがボールを前進させること2回。その時点でボールは当初のラインアウト地点の左サイドから右サイドへ大きく移動。今度はそこから逆サイドへ。FWが1回ラックを作り、ボールを持った8番ニリがもう一度FWで行くとみせかけ並んでいた3番、7番の裏を通して12番CTB田邊へ。すると田邊は左タッチライン側で待つ11番WTB竹澤へ20mを超える見事なロングパス! そこにはいつのまにか逆サイドの14番と15番FBカカもかけより、左タッチライン際ぎわでBKとFWでモール。今度は再びアタックの方向を変え、右側でFWが1回ラックを作り、ボールは9番、10番へ。さらに6番のダミーを挟んで12番、13番と渡り、その外に待機していた5番LO、今季ヤマハから加入したクリシュナインとともに右タッチラインぎわでラック。直後、9番SH古川は左に備えていた2番、3番のFWを飛ばし10番SO染山へ。すると染山は左側に大きく50m近いキックパス! そこで待ち受けていた15番FBが見事にダイレクトキャッチし、タックルを受けながらもさらに一人余っていた11番竹澤にボールを渡し、そのまま竹澤がインゴールに飛び込んでトライ!
時計は4分。その起点となった2分25秒のラインアウトからトライまでのおよそ90秒の間に、日野はモール2、ラック9を作り、つないだパスが15とキックパスが1。アタックの方向を3回変えていたのだ。
「キックパスも想定のうちですね」と言った細谷監督は続けた。
「選手たち全員が同じような“絵”を見ていると思います。FWのユニットが少しずつ前進しながらエッジ(端)にボールを運び、スペースを作る。それをFW、BK合わせて全員で行ないます。スタンドで見ていたキャプテンの村田も、上から同じような“絵”を見ていたと思いますよ」
それが、日野が今季掲げる“日野ピクチャー”。
この日、ディフェンス、キック、パスだでなくFWと連携して身体を張ってラックにも参加、よいサポートから2トライをあげた12番CTB田邊は「今日の試合は日野のやろうとしていることがいつも通りできたということでしょう。その結果だと思います」と、この日のできは100点満点とはいえないが合格点だったと言う。あとはこの日の減点部分をどこまで修正し次に挑むか。
全員が同じ“絵”を見ながら動く日野のフィフティーン。そこからは、珍しく貴重なトライも生まれた。
後半14分。相手キックを受けパスやラックを繰り返し前進、相手陣22m手前の右タッチラインぎりぎりに迫ったラックの後、いつも通りの“絵”のように1番、3番、4番のFW3人がラックサイドに立ち、1番PR井越がボールを受ける。すると相手ディフェンスラインの裏にラインブレイク。目の前に残った相手FBをひきつけてパス! ボールはいつも通りの“絵”のようにサポートしていた3番PR村上の手に渡り、村上はそのまま10m以上を走ってインゴールへ飛び込み、満面の笑顔のトライ。プロップからプロップにボールが渡っての“貴重な”トライが実現しのだ。
「大学の途中まではフランカーでその後にフッカー。プロップは日野に入ってからなんです」という井越は加入2年目。フィールドプレーもできる期待の若手プロップだ。
「でも、トライは特に狙っていたわけではないですし、チーム全体の中での自分の動きをしていたらたまたま抜けただけです。トライは、誰がとってもチームのトライ。それがたまたまプロップだっただけですから」
1番から15番まで。それに加えリザーブ23番までの8人も。さらにはその日の試合に出ない観客席にいるメンバーも同じく見ている“日野ピクチャー”。
この日の試合を通し、ファンの目にもその同じ“絵”が見えつつある。
次はいよいよサントリー戦だ。日野レッドドルフィンズが見ているその“絵”を、秩父宮のドルフィンズファンの前で見せてくれ!
細谷直監督 今日はディフェンスで自分たちの方からプレッシャーをかけ続けられました。アタックでは相手を集めて外で勝負ができた。我々が今シーズンチャレンジしてきたことができたはず。ただ、ブレイクダウン、スクラム等、次のサントリー戦までに修正すべき点はあるので、そこはしっかり修正しチャレンジしたいと思います。
ニリ・ラトゥ ゲームキャプテン 今日の試合に関しては非常に誇りを持っています。自分たちのやりたいことを最初の10分で示すことができた。しかし、規律が守れず反則が起こるなど反省点もあります。今日がすべてではないので、次にまた新たなチャレンジしたい。サントリーがどんなチームかはみな知っていますから。
試合後の記者会見で、この日のゲームキャプテンを務めたニリ・ラトゥは言った。76対12。トライ数12対2という結果の後に。それでも、現在成長を続ける自チームの、特に若い選手たちへの称賛は惜しまなかった。試合は、毎回毎回常に成長への糧なのであり、成長は続けている、と。
前半開始早々の先制トライまでの時間帯にその成長の跡は現れていただろう。
マイボールキックオフから敵陣深くへ蹴り込むキック。高々と上がったボールに対し14番の快速WTBチョンが猛然とチェイス。タックルはかなわぬもプレッシャーを与え、続くフォワード7番FL西村、3番PR村上ががしっかりと相手を止める。ラックから出た相手ボールに対しても次のフォワード陣5人がディフェンスラインからプレッシャーをかけ2番HO崩がタックル。結局、相手のスタンドオフ――今年清水建設に新加入の大物、オールブラックスの33キャップを誇るルーク・マカリスター――にはタッチキックの選択肢しか与えなかった。そこからは当然マイボールラインアウト。まずはディフェンスでプレッシャーをかけ続けることには成功だ。
その後は何度も練習を重ねたラインアウトモールから前進、さらには相手のペナルティを誘い、左タッチライン側へ蹴りだし相手22m陣内で再度マイボールラインアウト。
すかさず「イケ、イケ~、ヒ~ノ!」と観客席からは熱い声援が飛ぶ。
日野のアタックの開始だ。まずはモールで前進。その後短いパスを受けたFWが右へボールを運びラックを作ること3回。さらに長いパスからバックスがボールを前進させること2回。その時点でボールは当初のラインアウト地点の左サイドから右サイドへ大きく移動。今度はそこから逆サイドへ。FWが1回ラックを作り、ボールを持った8番ニリがもう一度FWで行くとみせかけ並んでいた3番、7番の裏を通して12番CTB田邊へ。すると田邊は左タッチライン側で待つ11番WTB竹澤へ20mを超える見事なロングパス! そこにはいつのまにか逆サイドの14番と15番FBカカもかけより、左タッチライン際ぎわでBKとFWでモール。今度は再びアタックの方向を変え、右側でFWが1回ラックを作り、ボールは9番、10番へ。さらに6番のダミーを挟んで12番、13番と渡り、その外に待機していた5番LO、今季ヤマハから加入したクリシュナインとともに右タッチラインぎわでラック。直後、9番SH古川は左に備えていた2番、3番のFWを飛ばし10番SO染山へ。すると染山は左側に大きく50m近いキックパス! そこで待ち受けていた15番FBが見事にダイレクトキャッチし、タックルを受けながらもさらに一人余っていた11番竹澤にボールを渡し、そのまま竹澤がインゴールに飛び込んでトライ!
時計は4分。その起点となった2分25秒のラインアウトからトライまでのおよそ90秒の間に、日野はモール2、ラック9を作り、つないだパスが15とキックパスが1。アタックの方向を3回変えていたのだ。
「キックパスも想定のうちですね」と言った細谷監督は続けた。
「選手たち全員が同じような“絵”を見ていると思います。FWのユニットが少しずつ前進しながらエッジ(端)にボールを運び、スペースを作る。それをFW、BK合わせて全員で行ないます。スタンドで見ていたキャプテンの村田も、上から同じような“絵”を見ていたと思いますよ」
それが、日野が今季掲げる“日野ピクチャー”。
この日、ディフェンス、キック、パスだでなくFWと連携して身体を張ってラックにも参加、よいサポートから2トライをあげた12番CTB田邊は「今日の試合は日野のやろうとしていることがいつも通りできたということでしょう。その結果だと思います」と、この日のできは100点満点とはいえないが合格点だったと言う。あとはこの日の減点部分をどこまで修正し次に挑むか。
全員が同じ“絵”を見ながら動く日野のフィフティーン。そこからは、珍しく貴重なトライも生まれた。
後半14分。相手キックを受けパスやラックを繰り返し前進、相手陣22m手前の右タッチラインぎりぎりに迫ったラックの後、いつも通りの“絵”のように1番、3番、4番のFW3人がラックサイドに立ち、1番PR井越がボールを受ける。すると相手ディフェンスラインの裏にラインブレイク。目の前に残った相手FBをひきつけてパス! ボールはいつも通りの“絵”のようにサポートしていた3番PR村上の手に渡り、村上はそのまま10m以上を走ってインゴールへ飛び込み、満面の笑顔のトライ。プロップからプロップにボールが渡っての“貴重な”トライが実現しのだ。
「大学の途中まではフランカーでその後にフッカー。プロップは日野に入ってからなんです」という井越は加入2年目。フィールドプレーもできる期待の若手プロップだ。
「でも、トライは特に狙っていたわけではないですし、チーム全体の中での自分の動きをしていたらたまたま抜けただけです。トライは、誰がとってもチームのトライ。それがたまたまプロップだっただけですから」
1番から15番まで。それに加えリザーブ23番までの8人も。さらにはその日の試合に出ない観客席にいるメンバーも同じく見ている“日野ピクチャー”。
この日の試合を通し、ファンの目にもその同じ“絵”が見えつつある。
次はいよいよサントリー戦だ。日野レッドドルフィンズが見ているその“絵”を、秩父宮のドルフィンズファンの前で見せてくれ!
細谷直監督 今日はディフェンスで自分たちの方からプレッシャーをかけ続けられました。アタックでは相手を集めて外で勝負ができた。我々が今シーズンチャレンジしてきたことができたはず。ただ、ブレイクダウン、スクラム等、次のサントリー戦までに修正すべき点はあるので、そこはしっかり修正しチャレンジしたいと思います。
ニリ・ラトゥ ゲームキャプテン 今日の試合に関しては非常に誇りを持っています。自分たちのやりたいことを最初の10分で示すことができた。しかし、規律が守れず反則が起こるなど反省点もあります。今日がすべてではないので、次にまた新たなチャレンジしたい。サントリーがどんなチームかはみな知っていますから。