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地域貢献活動

ジャパントップリーグカップ戦プールA 第5回戦 ホンダヒート戦コラム

『この悔しさかからな学び、成長へ!』

 「何がなんでも勝たなければならない試合」。
 試合前、細谷監督は意気込んでいた。日野レッドドルフィンズが対戦相手Honda HEATと戦ったのは2年前に2度あった。いずれも日野がトップリーグに参戦する直前のトップチャレンジリーグでの対戦。1stステージで22対54で、2ndステージでも10対55と2連敗。日野は同リーグで他チームには勝利し8勝するも、唯一Hondaにだけは負けていた。そのときの借りを返しに敵地、鈴鹿に乗り込んできたのだ。
 キックオフは午後7時。ナイター試合とはいえまだ陽はあり湿度もかなり高く、決して良いコンディションとはいえない中でゲームは開始された。Hondaが日野陣22mライン内に高く蹴り上げたキックオフ。が、そのボールをキャッチミスでノックオン。いきなり自陣でピンチを迎える日野。しかも、そのスクラムからいきなりトライを奪われてしまう。開始わずか1分を過ぎたところ。細谷監督が反省点として常々上げる「(試合開始序盤の)入りが悪い」の典型となってしまったのだ。
 それでも次のチャンスは日野に訪れる。相手ノックオンからスクラム。そのスクラムを押し込んで相手コラプシングからペナルティキックを得てラインアウトから攻める。日野はラックサイドからFWが持ち込み前進をはかる。その連続から機会を見ては外側の“エッジ”にボールを運ぶのが現在の日野のアタックパターンだ。
 だが、この日のHondaはディフェンスの飛び出しが光る。日野FW陣が再三ボールを持って前に出るが、激しいタックルにあい、なかなかチャンスが訪れない。気づくといつの間にか、ボールはターンオーバーされ、相手SOが大きなキックで陣地を取り返す。一方日野のディフェンスも綻びは見せないので、一進一退の攻防が続く。
 その流れを変えるひとつの契機となったのは、30分のTMOだった。直前の25分にSO10番のヘイデンに替わり入っていた22番の田邊のタックルが危険ではないかということでビデオ判定にかけられたのだ。結果は危険とみなされシンビン、10分の一時的退場を余儀なくされる。その間、日野は14人で戦わなければならない。
 Hondaは日野陣ゴール前で得たペナルティキックからスクラムを選択する。するとそのスクラムは日野の反則に。再度スクラムを選択するHonda。そこからボールを出し数的優位なバックスで攻める。それでも14人でディフェンスを続ける日野。なんとか耐え続けるが、36分にはついに相手NO8が抜け出し、WTB14番にボールが渡りトライを奪われる。やはり数的不利の結果か。さらには5分後。前半終了のブザーが鳴った後に、ゴール前に蹴り込まれたボールの不規則な転がりからHondaがトライを追加。ゴールも決まって0対21で前半終了となる。
 このままでは終われないレッドドルフィンズ。ハーフタイム時、細谷監督は相手のディフェンスに対応し指示を出した。「ダイレクトプレーを多く」と。
 「こちらのプレーに対応してきたのか、相手がFWの後ろのプレーヤーをつぶしてきたので、FWの先頭のプレーヤーが相手に直接当たるダイレクトプレーで前に出ようと指示しました。あとはスクラムの修正です」
 その効果もあってか、徐々に前に出られるようになる。後半開始早々PGを決められて0対24となったが、その後は相手の反則が増えていく。前半は一度もなかったブレイクダウンでのノットロールアウェイ、オフサイド、さらには後半12分、ラインアウト時の相手の危険なプレーによって今度はHondaNO8がシンビンとなる。
 そのPKからラインアウトを選択した日野は、さらに前に出て、ついにこの日最初のトライをHO2番木津が決めた。ゴールははずれ5対24。
 続く16分。相手陣で得たスクラムからSH9番橋本、NO8ニリ、FL6番アッシュにボールが渡りこの日2本目のトライ。スクラムが優位に立ち前に出て、よいボールを出せればスクラムに参加するNO8やFLのプレーにも余裕が出る。しかも、相手はシンビンでNO8を欠いた状態。やはり数的優位が得点に結びつく場合が多いのだ。ここでゴールも決まり12対24と迫る。
 その後も前に出る日野に対し、オフサイドなどHondaの反則が増えていく。そして30分すぎ。相手陣での相手ボールのスクラムから、日野FWがプレッシャーをかけ相手がたまらず反則。細谷監督が指示を出した「スクラムの修正」の結果が出た。そしてマイボールスクラムから、FW、BK一体となった日野らしい連続アタックをしかけ、最後は後半途中から入っていたHO16番郷がトライを上げる。これでトライ数はHondaと同じ3本に。得点は19対24と5点差である。
 だがその5点が重かった。結局日野は、CTB13番松井がインゴールに飛び込むもTMOの結果ノートライ、また先ごろ日野に新加入となったWTB23番チャンスが素晴らしいランとキックからゴール前に迫るもトライ目前でノックオンとなるなど、逆転のチャンスは何度もあったのだがその5点差を埋められたなかったのだ。
 「最後は相手のディフェンスを崩せませんでした」
 この日、後半途中からニリに替わりゲームキャプテンを務め、再三ボールを持って相手に当たっていったFL7番堀江が悔しそうに言った。
 「相手が15人でそろって上がってくることはわかっていたんですが、そこから前に出られなかった。最後は押し戻されてしまって…」
 そこでトライを取れれば十分に勝てる内容ではあったが、そのトライが取れなかった。一方で、開始早々に取られた1トライも痛い。
 テクニカルコーチの片倉も悔しそうに言う。
 「“入り”の重要性はわかっているんですけどね。私たちコーチもそのためにできることは全てやっているつもりです。それでも悪いことが起こる。それは、アップの仕方の問題なのか、なにか他に足りないことがあるのか…。これもまだまだ私たちが学んでいかなければならないことでしょう」
勝って学ぶのか、負けて学ぶのか。前者は理想である。だが、負けた試合、特にあと一歩という惜敗こそ、学ぶべきことは多いはず。
 今年のトップリーグ参戦は終わった。ワールドカップの関係もあり次は来年1月から。それまでにこの日の敗戦からな何を学び、どれだけ成長をするのか。
 レッドドルフィンズファンはみな、さらなる成長を期待しているはずだ。

細谷直監督 試合の“入りが悪い”ということは、今日のようなクロスゲームでは結果につながります。そこが大きな反省点。ただ、先週苦しめられたスクラムをはじめ、後半で立て直して戦えたことはよかった。点差は1トライ5点ですが、今日の5点は数字以上に重いので、そのことを考え、来年に向けじっくりと取り組んでいきたいと思います。

ニリ・ラトゥ ゲームキャプテン 本当に残念な結果です。前半、自分たちのミスが重なり得点ができなかった。但し、後半の戦い方には誇りを持っています。今シーズンこれまでやってきた新しいことの結果が出せた。みんな成長しています。今日は負けましたが、きっと今後につながるよい経験になるはです。

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