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【ジャパンラグビートップリーグ】第3節試合コラム『移籍組が日野カルチャーと自信を紡ぐ』

 これぞ、ベテランの味か。東芝から移籍してきたプロップの浅原拓真、トヨタ自動車からのロック北川俊澄。ともに元日本代表のベテラン選手。プレーはもちろん、試合後のコメントにも味わい深いものがある。
 「うれしかったですね」。この日、トップリーグ100試合出場を果たした愛称「バズ」こと浅原は顔をくしゃくしゃにした。試合はトヨタ自動車に負けた。でも、試合前、直前の試合で戦った古巣の東芝の選手たちから「おめでとう!」と声をかけられた。32歳はしみじみと漏らした。
 「ちょっと縁を感じました」
 東芝で9年間、トップリーグ97試合に出場した。新天地の日野で3試合。でも、日野のチームメイトは記念Tシャツを製作してくれた。試合後のセレモニーで、浅原は赤色のTシャツを羽織った。背中に黒字で「BUZZ」と「3」。胸には自身の似顔絵と「RED DOLPHNS」の文字。妻と3歳の長女、1歳の長男と一緒に記念撮影には収まった。
 「ほんと、東芝で育ててもらって、で、また新しいところでチャレンジさせてもらう環境におかせてもらって、ありがたいですね」
 日野は移籍選手が多い、いわば「ダイバーシティ(多様性)」の典型のようなチームである。東芝で培った文化を、日野でブレンドする。そうやって、新たな日野のカルチャーがつくられている。
 「東芝の文化というのは、強いフォワードでスクラムとかモールとか重視しているスタイルですね。日野のベースも似ていると思います。僕が知っていることを伝えるというか、一緒にやっている感じです」
 この日のトヨタ自動車戦。スクラムでは押し勝った。後半の中盤まで互角の勝負をしながら、ラスト20分で相手に振り回された。自身の交代後のチームの混沌に接し、浅原は「我慢できなかったんですね」と嘆いた。
 「トヨタからプレッシャーを受け続けていて、こう、ピキッと日野側にひびが入ってしまった。ただ、点差はすごく離されましたが、全然、戦える感じはありました」
 次週は、強力スクラムを武器にするヤマハ発動機と対戦する。浅原は「楽しみです」と不敵な笑みを浮かべた。
 「燃えますね。いつも、ヤマハとの勝負は燃えます。もうスクラム勝負ですから」
 試合後、ロッカー室から最後に出てきたのが、北川だった。こちらはトヨタ自動車に16年、日野に移籍して1年目。
 途中交代で退場する際、スタンドのトヨタファンからの温かい拍手を受け、38歳は笑みを浮かべた。こちらも、「すごく楽しかったですね」と振り返った。
 「慣れ親しんだ(トヨタ)コールを敵側のチームで聞くのは初めてだったんで。敵側なのに、応援してくれる人も多かった。もう、ありがとうという感じでした」
 日野とトヨタ自動車との差は。
 「ラスト20分で一気に離されるのは、ベンチから入ってきた選手の差がちょっとあったのかなって思います。日野はもっと選手の層を厚くしていく必要があるでしょう。またスタート(メンバー)だけじゃなく、ベンチを含めた30人ぐらいが同じ絵(プラン)を見ることができないといけないでしょ。みんなで同じ絵を見るのが大事になります」
 日野はいま、成長過程にある。もっと強くなるためには、浅原や北川など、移籍組がさらに、チームにいい影響を加えることができるのかどうかだ。
 経験値、スキル、マインドセット。強豪チームから移籍してきた選手ならではの強みとは、なんといっても、どのチーム相手でも勝てるという「自信」である。
(By 松瀬学)

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