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【ジャパンラグビートップリーグ】第4節試合コラム『“ブラックボックス”。そこが勝負の分かれ目だったのか』

 試合前、細谷直監督はこの日の試合のテーマのひとつが「ディシプリン」であると言った。なぜなら、前節のトヨタ戦で犯した反則は12対8。その内の一つはイエローカードによるシンビンとなっていたからだ。
 当然のことながら有利な攻撃権を相手に与えてしまう反則数が多いほど、勝利への機会は遠のく。
 「相手の強みはセットプレー。あとはボールを広く回してくるので、そこをなんとか止めたい」
 細谷監督の言う通り、この日のヤマハ発動機ジュビロの布陣は7人のBKの中に両WTBをはじめキレのある外国人選手4人を擁してきた。ヤマハ先発BKの日本人選手は、FBの五郎丸歩の他、SHとCTB13番の3人のみ。大きく展開されると脅威であることは間違いない。一方、トップリーグでは外国人選手の数に制限があるためこの日のヤマハのFWが全員が日本人選手、いわば和製FWである。
 そのFW戦で対抗したい日野レッドドルフィンズ。序盤は十分に対抗、いや圧倒したと言ってもいい。開始早々のマイボールラインアウトからモールを作り10m以上前進した。ゲームキャプテンであるナンバー8の堀江恭祐の9分のトライも、ラインアウトからのサインプレーが決まり、モールで前進してのものだった。その準備をしてきたFWコーチの箕内拓郎は、「モールでは勝ったんですけどねぇ」と試合後に悔しさを滲ませた。
 では、FWはどこで対抗できなかったのか? それは、試合後のインタビューでヤマハの堀川隆延監督が、「完勝でしょう」と言っていたスクラムである。確かに試合後のスタッツを見ればその点は否めない。
 実は、この日のペナルティ数はヤマハ5に対し日野は11という多さ。そのうちスクラムコラプシングが5つもあったのだ。海外では「スクラムはブラックボックス」とも言われる。反則の笛が鳴ったとしても、果たしてそれは正しいのか? 本当は何が起きていたのか? そういうことが明確には解らないのもスクラムである。
 この日のファーストスクラムは日野のノックオンからヤマハボールのスクラム。が、お互いにうまく組めずに組みなおしが続き、4度目に組んだ後にレフリーはヤマハの反則で日野にFKを与えた。続く2度目のスクラムもヤマハボールから。が、そのスクラムはヤマハ3番が先に崩れたように見えたが、笛は日野の反則に……。
 その後、この日のスクラムは合わせて全16回だったが、幾度となく崩れて組みなおしが続き、最終的には日野の反則が5(前半1、後半4)、ヤマハのFKの反則が計3となった。見ている側からすれば、繰り返される組みなおしや反則の笛から、それはまさにブラックボックスであった。
 「最初のうちはこちらも対応しようとしたのですがかみ合わず、最終的には受けちゃったのかもしれませんね」
 そう話すのは最初のスクラムで反則とされた左PR1番の久富雄一、41歳のベテランである。右PR3番は今シーズン東芝から移籍、先週のトヨタ戦でトップリーグ100試合出場を達成した浅原拓真。スクラム最前線のフロントロー3人は通常試合の途中で入替えが行われるが、特に後半20分以降フロントロー3人が代わった後の終盤には4本のトライを取られている。
 先週のトヨタ戦も終盤で20分で一気に差をつけられた。そして今回のヤマハ戦も。そこはペナルティも含めて大きな課題だろう。今回も日野は、前半終了間際にでイエローカード1枚、後半の37分には危険なプレーからレッドカードの退場者まで出している。
 この日先発出場ながら、前半途中で不運な肩の負傷から交替となった佐々木隆道は言う。
 「最後は糸が切れたように失速してしまう。我慢ができない。もう少しなんですが、そこがまだ足りないところでしょう」
 切れてしまうというのは精神的なところもあるのだろう。この日、佐々木に代わって入った村田毅共同主将も出場後30分もしないうちに頭部を負傷して退場。もう1人の共同主将オーガスティン・プルは、前週のトヨタ戦での危険なプレーから3試合出場停止となってしまっている。
 「ディプリン」。規律というその言葉は、「我慢」と言い換えることができるかもしれない。
「言うは易く行うは難し」――。
 それでも成長を続ける日野レッドドルフィンズには越えなければならない課題であるはず。ファンもその先のチームを期待しているのだ。

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