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【ジャパンラグビートップリーグ】第1節試合コラム『感謝の第一歩、高みへのチャレンジ』

 感謝と闘志にあふれた日野レッドドルフィンズの開幕戦だった。「まず、このような状況の中で試合をさせてもらって感謝しています」。試合後のオンライン会見。箕内ヘッドコーチ(HC)は言葉に実感をこめた。

 昨年7月、箕内氏が新HCに昇格。12月にはチームに新型コロナの感染者が出た。さらには、リーグに感染者が多数出たため、開幕が1ヶ月以上、延期された。だからだろう、花園ラグビー場の芝を駆け回る日野の選手たちにはプレーできる喜びに満ちていた。

 ただ、新型コロナによる歓声禁止のため、いつも会場に響く「ヒノ・コール」は聞こえなかった。ついでにいえば、ヤマハには五郎丸歩の姿もなかった。開始直後にはアクシデントがあった。攻撃の軸のCTBデブラシーニが最初のプレーで負傷退場したのだ。

 箕内HCは「ラグビーをやっている以上、けがは仕方ない」と言いながらも、顔を少し歪めた。「タイミングは想定外の感じだった。チームにはちょっと影響はありました」
 それでも、急遽、交代出場した田邊は頑張った。これも縁か。東花園ラグビースクール出身。大けがを乗り越えて復帰した33歳のプレーには気持ちが入っていた。

 この日、日野のトップリーグ初出場は4人。その内の一人、先発したFB吉川は国学院久我山高からニュージーランドのワイカト大を経て、日野自動車に入社した。チャレンジングな人生を歩む。相手のトライをゴールライン間際で防ぐ、“トライ・セーブ”を見せた。

 気迫でいえば、赤いジャージの塊のFWの奮闘には心が揺さぶられた。42歳のプロップ、久富、40歳のロック北川のいぶし銀の両ベテランがリードする。スクラムを看板とするヤマハFWを押し込むと、「どうだ」とばかりに凄まじい雄叫びをあげた。

 北川は言った。「セットプレーは自信を持てた内容でした。(昨年の)春から準備していたパフォーマンスが出せました。次につなげたい」。収穫は大きいのだ。
 ただ気負い過ぎたのか、ラインオフサイド、ハイタックルなどのペナルティーを連発した。前半、ヤマハに与えたペナルティー・キックは10本(相手3本)にのぼった。クリシュナンのシンビン中には2トライを失った。箕内HCは「一番の課題」と声を落とした。

 試合中、麻生レフリーから何度も注意されたのだから、選手は対応しなければなるまい。待たずに前に出るディフェンスは分かるのだが、ここは、我慢が必要だった。でも、ここは意識すれば変わる。現にハーフタイムで確認しあった後、後半の反則は2つに減った。

 それにしても、50分間はトライ数1本対2本と互角の展開だった。が、そこから4連続トライを許した。取られ方が悪過ぎた。箕内HCは「残念な部分」と漏らした。「(トライを)取った後にすぐ、取られるところに甘さがある。次の集中力は学ばなければいけない」
 スコア上、ワンサイドになりかけたところで闘将プルが気を吐いた。スタンドの箕内HCから奮起を促すメッセージがグラウンドのプルに届いた。その後、プルは密集サイドを突破して2連続トライ。「ファイティング・アクションでチームを引っ張っていこうと思った。自分だけではない。全員が誇りに思うプレーを続けてくれた」
 確かにスコア上は大敗だった。でも、ゲーム内容としてはさほど気落ちする必要はない。課題が明らかになったのも収穫か。

 「愛されるチーム文化」を掲げる日野。来年発足の新リーグでディビジョン1(12チーム)に入るために1つでも多く、勝ちたい。さあチャレンジだ。心で叫ぶ。
ヒノ、ヒノ、ヒ〜ノ! 
がんばれ、ヒ〜ノ!

(Text by 松瀬学)

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