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【ジャパンラグビートップリーグ】第2節試合コラム『経験は宝。連敗スタートも前を向く』

 負けて反省、負けて成長である。待ちに待った熊谷ラグビー場の今季開幕戦。日野レッドドルフィンズの箕内ヘッドコーチ(HC)は「素晴らしい環境」に感謝しながらも、言葉に無念さをにじませた。

 「前半、思っていたような我々の形で試合を進められたのですが…。最終的に、パナソニックさんと差を分けたのは、プレーの細かいところ、プレッシャーの中でもそれをやり切るところだったのでは…」

 相変わらずの新型コロナ禍の影響によるオンライン会見。しかもマスク越しの声は聞き取りにくい場合がある。ひと言でいうと、彼我の差は「プレッシャー下でのプレーの精度」だったのだろう。

 この日も組織だって前に出るディフェンスは機能した。前週の反省を踏まえ、意識して、ラインオフサイドの反則は犯さなかった。ただ、相手だって、日野の分析はしていた。パナソニックSOの“ファンタジスタ”山沢に、前に出るラインの裏に自在にキックを蹴られた。その対応で後手を踏んだ。

 いぶし銀のFWは結束して前に出た。42歳のプロップ久富もスクラムでがんばった。バックスでも、闘将プルはボックスキック、タテ突破と“獅子奮迅”の活躍を見せた。CTB片岡も何度かラインブレイクした。

 ただ、チャンスでボールが出ない。つながらない。あと一歩。あと一人が続かない。パナソニックの上手さにやられ、ターンオーバーを許した。相手にボールを奪われた。外にパスを回したくとも、肝心なところで、ハンドリングミスを犯した。そこを突かれた。

 互角の展開に見えても、後半、スコアはどんどん開いていった。片岡は「細かいところをやらない限り、こういうスコアになる」と悔やんだ。「ディテール(細部)のところでパナソニックさんが上手なので、こういう結果につながったのだと思います」

 パナソニックが試合巧者に見えたのは、それぞれが球際の細かいプレー、プレッシャー下での正確さ、判断のはやさがまさっていたからである。戦術理解、意思統一、メリハリがあった。闘将プルは言った。

 「パナソニックのバックスが速いのはわかっていたが、とくに自分たちの想定より優れていたのは、やはり試合の中で“ここぞ”というチャンスの時に(トライを)取り切るギアです。そこがすごかった」

 圧力下でのプレーの精度は、実戦経験を積みながら磨いていくしかあるまい。トップリーグデビューとなった1年目のCTB川井もハンドリングミスがあった。近大卒の23歳、日野自動車の経理部所属。デブラシーニの負傷による戦列離脱もあるが、思い切りの良さとアタック力を買われての先発出場だった。

 プレーには相手に挑みかかる気概にあふれていた。デビュー戦の評価を聞けば、箕内HCは“及第点”をつけた。

 「ここまで一貫性を持ってやってきたことが、メンバーに選ばれた理由です。日本一を何度も経験しているパナソニックさん相手に経験を積めたというのが、チームの財産という意味で、素晴らしいのかなと思います」

 タフな試合がつづく。次節は、西に遠征して、一昨季のトップリーグ王者、神戸製鋼にチャレンジする。相手は連勝スタート。

 こちらは連敗。それでも箕内HCは前を向く。「コーチ陣としては、こういう形で勝つんだとしっかり選手に示して、1週間、準備するのが大事だと信じています。チーム一丸になって、次のゲームに向かっていきたい」

 経験は宝である。屈辱と後悔を、苦悶と熟慮の先の勝利にどう結ぶのか。負けて学べるか、そして「負けじ魂」がパワーとなる。

(Text by 松瀬学)

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