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【ジャパンラグビートップリーグ】第5節試合コラム『1点差負けも、上を向き、成長しつづける』
空も泣いていた。1点差の苦杯。試合終了に、赤色ジャージの日野フィフティーンが緑色の芝に落ち崩れた。雨脚が強くなる。
「終わってみれば、1点差ですけど…」と、日野レッドドルフィンズのフランカー、共同主将の堀江恭佑は重い口を開いた。上を向く。
「80分を通して、手応えを感じる場面も多かった。本当に多くを学ばせてもらえた試合だった。僕らは1試合、1試合、成長を実感しています」
またも雨だった。花園ラグビー場周りの満開の桜も濡れていた。前週は雨の中、NECにロスタイムの決勝PGで今季初勝利を挙げた。だから、雨中戦の戦い方はわかっていた。
キックで陣地を稼ぐ。敵陣に入って、ディフェンスから相手にプレッシャーをかける。マイボールにすれば、しっかり得点する。大事なのは、とくにディフェンス、コンタクトエリアだ。接点で1歩前に出る。
ただ、相手も必死だった。NTTドコモは3年前の1月、リーグ入れ替え戦で日野に苦杯(17-20)をなめ、トップリーグから一時、降格していた。そのリベンジに燃えていた。
しかも、今季はニュージーランド代表のTJ・ペレナラや南アフリカ代表のWTBマピンピら大型補強を敢行していた。チーム力は大幅アップし、今季は3勝1敗と勝利を重ねていた。勝利への執着、そして意地と意地。試合は、クロスゲームとなった。
むしろ日野が押していた。理想的なトライは後半25分のそれだっただろう。キックで敵陣に入る。ラインアウトのマイボールは相手に奪取されたが、バックスラインがプレッシャーをかけた。WTB竹澤正祥が鋭く、相手CTBのソーンダースに圧力をかけ、ノックオンを誘った。
このスクラムをぐいぐい押して、コラプシング(故意に崩す行為)のアドバンテージをもらった。ナンバー8のニリ・ラトゥがタテを突き、ラックから右へ。途中交代の頑張り屋、SO東郷太郎丸が左足で絶妙のキックをゴールライン前に落とし、CTB川井太貴がワンバウンドでキャッチしてインゴールに飛び込んだ。ナイス・トライ!
試合後のオンライン会見。白いマスク下の川井の顔は誇らしそうだった。23歳の言葉が充実感にあふれていた。
「今日の試合は前半からディフェンスで前に出られて、プレッシャーをかけられて、いい試合ができたと思います。でも最後、勝ちきれなかった。それは課題ですけど」
経験は宝である。この悔恨をどう、勝利につなげるかだろう。この日はベテラン勢だけでなく、若手も躍動した。
コロナ禍をはじめ、世の中、いろんなことがある。ケガもあれば、大敗、辛勝、惜敗もある。ついでにいえば、この日の試合後のオンライン会見、筆者のNTTドコモのスマホを通したネット環境がダウンし、血の気がひいた。心で日野を応援していたからか。
日野は1試合ごと成長している。箕内拓郎ヘッドコーチは「1点の重みを感じた」と漏らしながら、こう評価した。
「今日の試合に限らず、シーズン当初から、1日1日、積み重ねてきたプレー1つひとつが、チームにとっての財産となっています。プロセスに関しては、選手たちを誇りに思っています。今後も継続して、また高みを目指していきたい」
来週は、桜前線を追いかけるように、秋田に北上し、キャノンと対戦する。負けられない試合がつづく。1試合1試合、精いっぱい頑張れば、次につながるのである。
(Text By 松瀬学)
「終わってみれば、1点差ですけど…」と、日野レッドドルフィンズのフランカー、共同主将の堀江恭佑は重い口を開いた。上を向く。
「80分を通して、手応えを感じる場面も多かった。本当に多くを学ばせてもらえた試合だった。僕らは1試合、1試合、成長を実感しています」
またも雨だった。花園ラグビー場周りの満開の桜も濡れていた。前週は雨の中、NECにロスタイムの決勝PGで今季初勝利を挙げた。だから、雨中戦の戦い方はわかっていた。
キックで陣地を稼ぐ。敵陣に入って、ディフェンスから相手にプレッシャーをかける。マイボールにすれば、しっかり得点する。大事なのは、とくにディフェンス、コンタクトエリアだ。接点で1歩前に出る。
ただ、相手も必死だった。NTTドコモは3年前の1月、リーグ入れ替え戦で日野に苦杯(17-20)をなめ、トップリーグから一時、降格していた。そのリベンジに燃えていた。
しかも、今季はニュージーランド代表のTJ・ペレナラや南アフリカ代表のWTBマピンピら大型補強を敢行していた。チーム力は大幅アップし、今季は3勝1敗と勝利を重ねていた。勝利への執着、そして意地と意地。試合は、クロスゲームとなった。
むしろ日野が押していた。理想的なトライは後半25分のそれだっただろう。キックで敵陣に入る。ラインアウトのマイボールは相手に奪取されたが、バックスラインがプレッシャーをかけた。WTB竹澤正祥が鋭く、相手CTBのソーンダースに圧力をかけ、ノックオンを誘った。
このスクラムをぐいぐい押して、コラプシング(故意に崩す行為)のアドバンテージをもらった。ナンバー8のニリ・ラトゥがタテを突き、ラックから右へ。途中交代の頑張り屋、SO東郷太郎丸が左足で絶妙のキックをゴールライン前に落とし、CTB川井太貴がワンバウンドでキャッチしてインゴールに飛び込んだ。ナイス・トライ!
試合後のオンライン会見。白いマスク下の川井の顔は誇らしそうだった。23歳の言葉が充実感にあふれていた。
「今日の試合は前半からディフェンスで前に出られて、プレッシャーをかけられて、いい試合ができたと思います。でも最後、勝ちきれなかった。それは課題ですけど」
経験は宝である。この悔恨をどう、勝利につなげるかだろう。この日はベテラン勢だけでなく、若手も躍動した。
コロナ禍をはじめ、世の中、いろんなことがある。ケガもあれば、大敗、辛勝、惜敗もある。ついでにいえば、この日の試合後のオンライン会見、筆者のNTTドコモのスマホを通したネット環境がダウンし、血の気がひいた。心で日野を応援していたからか。
日野は1試合ごと成長している。箕内拓郎ヘッドコーチは「1点の重みを感じた」と漏らしながら、こう評価した。
「今日の試合に限らず、シーズン当初から、1日1日、積み重ねてきたプレー1つひとつが、チームにとっての財産となっています。プロセスに関しては、選手たちを誇りに思っています。今後も継続して、また高みを目指していきたい」
来週は、桜前線を追いかけるように、秋田に北上し、キャノンと対戦する。負けられない試合がつづく。1試合1試合、精いっぱい頑張れば、次につながるのである。
(Text By 松瀬学)