MATCHES

トップチャレンジリーグ vs Honda HEAT

トップチャレンジリーグ 第7節

2017.11.25

14:00 K.O.

パロマ瑞穂ラグビー場

日野レッドドルフィンズ
22
3 - 26
19 - 28
54
Honda HEAT
TGPGDGTGPGDG
0010前半4300
3200後半4400

トップチャレンジリーグ vs Honda HEAT

勝てばチャレンジリーグ1stステージで1位が決まるHonda HEAT(ホンダ)との大一番を前に、11月23日(木)、日野自動車レッドドルフィンズの選手達が日野自動車総合グランドに集まり調整を行った。1人1人が攻守の連携を入念に確認し、チームの勝利に向かって一丸となっていた。

練習終盤、試合出場予定メンバーが集まって円陣を組み、「俺達は試合に出るわけだし、出られない選手の分まで、もっとボールを大事に回そうぜ。」と、気持ちを高めているようであった。

「前回の試合(九州電力戦)では、ウチのミスやアタックからのターンオーバーからの失点があったので、どれだけ修正と集中をしてミスをなくすかが試合の鍵となりますね。そして、ブレイクダウンからのモールとラックで相手を押し込みたいですね。」と、細谷直監督が言うように、守備に集中していかに失点を防ぎ、攻撃時に自慢のフォワード陣が相手を押し崩せるかが勝敗を決めることになりそうだ。

日野自動車はリーグ戦で2位以上が確定しているが、4強によるサバイバルレースとなる2stステージで1位となれば念願のトップリーグ初昇格が決まるだけに、ホンダから勝利を獲得して首位に立ちたいところだ。

勝点2差で首位を走るホンダとの6戦全勝同士の対決は、11月25日(日)、愛知県名古屋市パロマ瑞穂ラグビー場にて行われた。

まるで春を思わせる心地良い青空の下、スタンドには赤に身を包んだ日野自動車応援団が試合前から懸命に声援し続けていた。

「ゴー、ゴー、レッツゴー、ドルフィンズ!ゴー、ゴー、レッツゴー、ドルフィンズ!」

さあ、いよいよ決戦だ。

6試合で458点も奪って勝ち続けているホンダ相手に、日野自動車はどのようなゲームプランを組んで戦うのかが見どころとなった。

14時試合開始。

ホンダボールのキックオフ直後、日野自動車は相手の猛攻を受けてタックルで対抗するが、わずかな隙を見逃さないホンダの外国人選手に突破された後にパスを繋がれ、ノーホイッスルトライを奪われてしまう。

衝撃的な始まりに誰もが目を疑った。相手とのコンタクト時に持ち前の強さを発揮していたフランカーの西村雄大(人事総務部)が、「前半序盤の相手の攻撃に面食らいました。」と、予想しない幕開けとなったが、試合は始まったばかりである。

日野自動車は徐々にエンジンをかけ始め、「前半しっかりとゲームを作って、後半に繋ぐ気持ちでやった。」と言うスタンドオフの染山茂範(トヨタ部)が5分にペナルティーキックを冷静に決めて、3‐7とする。

それから敵陣に駒を進めた日野自動車は、敵陣10mライン付近でのラインアウトからモールを組み得意のパス回しにより突破を志すが、相手の速いプレッシャーと強力なタックルを何度も受けてリズムに乗れず、22mラインを越えることができない。

10分にギャップを上手く突いて染山が突破するも、ブレイクダウン後にホンダのキックが自陣の10mライン付近へ飛んだボールを日野自動車の選手は奪うことができない。包囲網を形成して必死のディフェンスで対抗するも、突き抜かれて再びトライを許してしまう。

以降もホンダの猛攻が続き、自陣でプレーする我慢の時間帯が増え焦り始める。相手のスクラムやモールにタックルで必死に応戦し続けるが、耐え切れずにトライされ3-19に。

日野自動車の選手達は再度確認し合い、形勢逆転をすべく挑み続ける。

28分。敵陣右奥で相手がパスで展開するのを猛攻タックルで跳ね返す。後ろに退いたホンダが前にボールを蹴り出す。

ハーフライン付近でウイングの篠田正悟(調達部)が軽快なステップでボールを奪い取り、スピードを上げて中央突破をして左サイド22mラインまで侵入する。篠田に続けとチーム全体が連動し、染山が右ワイドにパスを展開してゴールライン10m手前まで接近するが、その先へ進むことができない。

今季初先発でフル出場を果たしたスクラムハーフの田川明洋(人事総務部)は、「速い球回しをしていこうという意識していました。」と、走り回って顔を出し精度の高いパスを供給しながら攻撃の起点となるが、田川のパスを受けた選手達がことごとく弾き返されてしまう。

徐々に押し込まれ始めた36分。相手のスクラムから右サイドへ展開された後にトライを決められ3-26。

その後、染山選手の強行突破などによりゴールライン手前まで進むも、トライを奪えず前半が終了。

後半開始。日野自動車のキックオフ。

日野自動車は、後半0分からフッカーの廣川三鶴(生産管理部)、スタンドオフのヘイデン・クリップス(人事総務部付)、センターの河野嵩史(グローバル生産・補給物流部)を投入し、反撃の狼煙を上げる。

主将の廣川を中心に猛攻を仕掛け敵陣奥深くまで侵入するが、ホンダはタックルで応戦。

5分。アタックをし続けて、田川からパスを受けたヘイデン・クリップスが右サイドのゴールラインを目掛けて左足でボールを蹴ると、猛烈な勢いで駆け抜ける松井佑太(品質保証部)に渡る見事なキックパスとなり、松井はそのままトライ。相手は呆然とする。ヘイデン・クリップスはキックも決めて、10-26とする。

巻き返しを図る日野自動車であるが、「チャンスとなっても上手くコミュニケーションを取れず、パスを貰いたいところで受けることが出来なかった」と松井が言うように、なかなか効果的なアタックとならず相手のパワーに圧されてしまい、スコアは10-40となってしまう。

23分。敵陣22mライン手前で篠田が右サイドに侵入し松井へパスを回し、相手の激しいタックルに遭うも日野自動車のフォワード陣が進撃し、田川がこぼれ球を拾ってゴールラインに向かって飛び込み、最後は廣川が身体を投げ出してトライを決める。ヘイデン・クリップスのキックも成功して17-40と23点差までに詰め寄る。

このまま勢いに乗ってトライを重ねれば逆転可能だ。奇跡を信じて声援し続ける日野自動車応援団は、さらに赤く燃え上がる。

「トントントントン、ヒノノ二トン!トントントントン、ヒノノ二トン!」

33分。スクラムから展開されたパスを受けた交代出場でナンバーエイトのリチャード・スケルトン(人事総務部付)が相手4人を次々になぎ倒しながら前進し、こぼれ球を拾った廣川が再びトライを決めて22点目を奪う。

最後まで諦めることなく果敢に攻め続けた日野自動車であったが、万事休す。ノーサイド。

22-54。

フル出場したフランカーの村田毅(人事総務部付)は、「しっかり準備をしてきて手応えはあったが、自分たちのミスによりここまでの点差になった」と言い、ナンバーエイトの千布亮輔(人事総務部付)は、「プレッシャーをかけたいところでかけることが出来なかった」と悔しさを滲ませていた。

チャレンジリーグで1番強いホンダ相手に、通用する部分とそうでない部分が明確となる試合内容となったが、あと1本のパスが通ればビッグチャンスとなるシーンが沢山あっただけに、次回の対戦では大いに期待ができる。

日野自動車レッドドルフィンズは、チャレンジリーグ1stステージを6勝1敗で終え2位通過が決定。12月10日(日)から始まる上位4チームによる生き残りをかけた2stステージでは、前回接戦を演じた三菱重工相模原と対戦する。

日野自動車ラグビー部創設初のトップリーグへの道のりは、まだまだ続く。

本当の戦いは、これからである。

【細谷監督】
「コンタクトエリアに対してはダブルタックルがしっかりとできていました。アタックからディフェンスに切り替えた時に、相手の反応が速くてトライを取られてしまったので、そこを修正しなければなりません。かなり攻めることができてチャンスを生み出していたので、2週間後の三菱戦に向けて良い準備をしていきたいですね。」

【廣川主将】
「試合開始早々、相手に立て続けに点を奪われ勝負の半分は決まってしまったのかなと思いましたね。トップリーグを経験しているホンダとの差を感じました。プレーの精度を高めていけば戦えない相手ではないので、リベンジできるようにしたいですね。まだまだ伸びしろがあるチームなので、選手達が日々の練習から意識を変えていって、次の試合までの2週間を良い時間にしたいです。」



【プロフィール】
Text by 佐久間秀実
スポーツを通じて、楽しさ、喜び、感動を!
1976年 埼玉県生まれ。龍谷大学卒。スポーツライター。
「取材実績」
キングギア(釜本邦茂氏、エアレース世界王者・室屋義秀氏、スノーボード竹内智香選手、スポーツメーカーなど)
http://king-gear.com/authors/24
アルペン・グループランニング(藤原新氏、市橋有里氏、スポーツメーカーなど)
https://www.alpen-group.jp/cp/running/
東洋経済(写真掲載)

この記事をシェアする