『日野FW結束、劇的なサヨナラPGで初勝利を挙げる』
やっと、やっとの初勝利だった。横殴りの雨が降りしきる中、日野レッドドルフィンズは、チーム結束で今季初勝利を手にした。
試合終了のホーンは鳴った。スコアは7-7。でも日野の選手たちは前に出る気迫に満ちていた。攻める。殊勲はロックのクリシュナン。自陣での相手ボールのラインアウトで、ボールをスティールした。逆襲する。ラックサイドの右、左、タテを突く。フェーズ(局面)は16回を数えた。よくぞ、ボールを落とさなかったものだ。この集中力。この我慢。
ラックの右サイドに攻めた時、ついに相手がオフサイドを犯した。ほぼ中央のゴールラインまで約23㍍の地点。このペナルティーゴール(PG)を途中交代で出場の苦労人、田邊秀樹が左足できっちり蹴りこんだ。
10-7だ。勝った。初勝利だ。はじける歓喜の輪。ラストワンプレーで、日野が勝利をものにした。いいぞ、田邊。プレッシャーをものともせず、よくぞ、この土壇場でPGを蹴りこんだ。
試合は、ほとんど、日野が押していた。荒天下でのフォワード(FW)戦。だれもが、コンタクトエリアで激しく、一歩前に出た。ディフェンスもきっちり、そろって前に出た。
前半、ゴール前に度々、迫りながらも、トライはとれなかった。例えば、前半20分ごろの敵陣ゴール前のスクラム。左サイドにナンバー8ラトゥがもぐって、ラック。さらにSHプルが左サイドに持ち込んでトライしたかに見えた。TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)の末、プルがノックオンと判定された。惜しい。ノートライだ。
加えて、前半37分、ラックの左サイドをフランカー、堀江恭佑を中心にインゴールになだれ込んだ。またもTMO。よくみれば、ボールが堀江の手からこぼれていた。ノックオン。これまた惜しい。ノートライ。
前半を0-0で折り返した。この天候だもの、試合はまずはキックで敵陣に入る、「キッキング・ゲーム」の様相を呈していた。豪雨のため、ハンドリングミスを連発した。
後半、日野は前半の勢いに乗って、攻めに攻める。後半8分、日野は全員が激しいプレッシャーをかけ、相手のSOアレックス・グッドのミスキックを誘う。ダイレクトタッチ。敵陣深くで、日野ボールのラインアウト。ドライビングモールで相手を崩して、ラックを軸にした連続攻撃を仕掛ける。
最後は、ラックから右に出して、SHプルからTL通算100試合出場のナンバー8、ラトゥ、そしてロックのリアキ・モリにつなぎ、左隅に飛び込んだ。この難しい位置からのゴールを、SOクリップス・ヘイデンが蹴りこんで、7-0と先行した。
勝敗のアヤはこの後の攻防だった。後半20分、NECがゴールライン前から、得意のラインアウトからのドライビングモールを押し込んできた。我慢だ。ここで、相手モールを押し返し、モールがつぶれて、マイボールのスクラムになったのだった。
もっとも、その後は、日野はチャンスにミスを続発して、追加点が奪えない。後半35分。相手のはやい攻めに慌てたWTBチャンス・ペニーが故意のノックオンをとられ、NECに認定トライを献上した。しかも、ペニーはシンビン(10分間の一時出場停止処分)。
ただ、日野は諦めなかった。相手にプレッシャーをかけ続け、それがロスタイムの決勝PGにつながった。この勝利は大きい。トップリーグの後半戦にはずみをつける「ビッグ・ビクトリー」になったはずだ。
【HC、主将の言葉】
箕内拓郎ヘッドコーチ
最後に(決勝PGの)チャンスが訪れたのは、みんなが80分間、相手にプレッシャーをかけつづけたからでしょう。
コロナ禍の中でも、みんなが頑張ってきたので、それが勝利というカタチで表れたのは大きい。試合に出ていないノン・メンバーと共に喜びを分かち合えるのは非常にうれしいことです。
堀江恭佑・共同主将
ニリ(ラトゥ)がトップリーグ100キャップ。特別な試合でした。これまでなかなか結果が出ず、悔しい思いをしてきました。勝利をつかんで、ホッとしています。
(最後の猛攻)敵陣でプレーし続ければ、我慢勝負で勝てるとの自信はあった。それを、最後まで全員が信じてプレーすることができました。自分たちはもっと、成長できると思っています。トップリーグは続くので、自分たちをもっともっとレベルアップしていきたい。
(Text By 松瀬学)
試合終了のホーンは鳴った。スコアは7-7。でも日野の選手たちは前に出る気迫に満ちていた。攻める。殊勲はロックのクリシュナン。自陣での相手ボールのラインアウトで、ボールをスティールした。逆襲する。ラックサイドの右、左、タテを突く。フェーズ(局面)は16回を数えた。よくぞ、ボールを落とさなかったものだ。この集中力。この我慢。
ラックの右サイドに攻めた時、ついに相手がオフサイドを犯した。ほぼ中央のゴールラインまで約23㍍の地点。このペナルティーゴール(PG)を途中交代で出場の苦労人、田邊秀樹が左足できっちり蹴りこんだ。
10-7だ。勝った。初勝利だ。はじける歓喜の輪。ラストワンプレーで、日野が勝利をものにした。いいぞ、田邊。プレッシャーをものともせず、よくぞ、この土壇場でPGを蹴りこんだ。
試合は、ほとんど、日野が押していた。荒天下でのフォワード(FW)戦。だれもが、コンタクトエリアで激しく、一歩前に出た。ディフェンスもきっちり、そろって前に出た。
前半、ゴール前に度々、迫りながらも、トライはとれなかった。例えば、前半20分ごろの敵陣ゴール前のスクラム。左サイドにナンバー8ラトゥがもぐって、ラック。さらにSHプルが左サイドに持ち込んでトライしたかに見えた。TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)の末、プルがノックオンと判定された。惜しい。ノートライだ。
加えて、前半37分、ラックの左サイドをフランカー、堀江恭佑を中心にインゴールになだれ込んだ。またもTMO。よくみれば、ボールが堀江の手からこぼれていた。ノックオン。これまた惜しい。ノートライ。
前半を0-0で折り返した。この天候だもの、試合はまずはキックで敵陣に入る、「キッキング・ゲーム」の様相を呈していた。豪雨のため、ハンドリングミスを連発した。
後半、日野は前半の勢いに乗って、攻めに攻める。後半8分、日野は全員が激しいプレッシャーをかけ、相手のSOアレックス・グッドのミスキックを誘う。ダイレクトタッチ。敵陣深くで、日野ボールのラインアウト。ドライビングモールで相手を崩して、ラックを軸にした連続攻撃を仕掛ける。
最後は、ラックから右に出して、SHプルからTL通算100試合出場のナンバー8、ラトゥ、そしてロックのリアキ・モリにつなぎ、左隅に飛び込んだ。この難しい位置からのゴールを、SOクリップス・ヘイデンが蹴りこんで、7-0と先行した。
勝敗のアヤはこの後の攻防だった。後半20分、NECがゴールライン前から、得意のラインアウトからのドライビングモールを押し込んできた。我慢だ。ここで、相手モールを押し返し、モールがつぶれて、マイボールのスクラムになったのだった。
もっとも、その後は、日野はチャンスにミスを続発して、追加点が奪えない。後半35分。相手のはやい攻めに慌てたWTBチャンス・ペニーが故意のノックオンをとられ、NECに認定トライを献上した。しかも、ペニーはシンビン(10分間の一時出場停止処分)。
ただ、日野は諦めなかった。相手にプレッシャーをかけ続け、それがロスタイムの決勝PGにつながった。この勝利は大きい。トップリーグの後半戦にはずみをつける「ビッグ・ビクトリー」になったはずだ。
【HC、主将の言葉】
箕内拓郎ヘッドコーチ
最後に(決勝PGの)チャンスが訪れたのは、みんなが80分間、相手にプレッシャーをかけつづけたからでしょう。
コロナ禍の中でも、みんなが頑張ってきたので、それが勝利というカタチで表れたのは大きい。試合に出ていないノン・メンバーと共に喜びを分かち合えるのは非常にうれしいことです。
堀江恭佑・共同主将
ニリ(ラトゥ)がトップリーグ100キャップ。特別な試合でした。これまでなかなか結果が出ず、悔しい思いをしてきました。勝利をつかんで、ホッとしています。
(最後の猛攻)敵陣でプレーし続ければ、我慢勝負で勝てるとの自信はあった。それを、最後まで全員が信じてプレーすることができました。自分たちはもっと、成長できると思っています。トップリーグは続くので、自分たちをもっともっとレベルアップしていきたい。
(Text By 松瀬学)