『3つの誤算で黒星発進。成長は見せた日野』
もったいない開幕戦だった。日野レッドドルフィンズの誤算は3つ。1つ目は開始直後のCTBデブラシーニの負傷退場、2つ目がディスプリン(規律)の希薄、3つ目が要所での我慢不足だった。
晴天下の東大阪・花園ラグビー場。じゅうたんのごとき緑色の芝生が日差しに映える。キックオフ直後、CTBデブラシーニがタッチキックを蹴った際、股関節を痛めて、田邊秀樹と交代するアクシデント。飛距離の出るキックを持ち味とするデブラシーニを欠いたことで、キックを効果的に使っていくゲームプランを少し変えざるを得なかった。
そして、ディシプリンだ。日野は成長の跡を随所に見せてくれた。特に序盤、組織立って鋭く出るディフェンスはヤマハの攻めを寸断した。トップリーグ・デビューのFB吉川遼も懸命な戻りでトライを防いだ。攻めても、日本国籍を取得したSOクリップス・ヘイデンが何度もラインブレイク、FWは接点で健闘した。ヤマハ自慢のスクラムでも、日野の結束FWが何度も押し込んだ。
相手のドライビングモールも、ロックの北川俊澄が真ん中を割って潰した。これぞ、ベテランの味か。惜しかったのが、前半8分。SOクリップスがラインブレイク、SHプルがゴールラインに迫りながらも、もう一人が続かず、ボールを離さない反則を取られた。
このほかでも、ラインオフサイド、ハイタックルの反則を重ねる。ついに前半25分、ロックのクリシュナンが反則の繰り返しでシンビン(10分間の一時的退場)を取られた。数的不利になったところで、ヤマハの矢富兄弟のコンビでトライを奪われた。33分にもライン際をうまく走られてトライを追加された。
前半終了間際、北川がラックサイドを突いてゴールライン直前に迫ったところで、サポートのFLパーカー・アッシュが頭を下げて入ったということで反則を取られた。
ああ無情である。前半の反則は相手3本に対し、日野は10本を数えた。孤立するのは、連携が不足しているからだ。位置取りが悪く、我慢も足りないのだ。これでは、リズムに乗れない。前半を0-14で折り返した。
だが、日野は後半、反撃に転じた。3分、WTBチャンス・ペニーが相手パスミスのボールを拾って攻め、SHプルの約30㍍のロングパスからCTB片岡将が右ライン際を爆走してトライを返した。5-14とした。
ここで、スクラムの痛恨のコラプシング(故意に崩す行為)の反則が反撃ムードに水を差した。タッチキックを蹴られ、ラインアウトからのサインプレーでトライを許した。
勝敗の帰趨を決めたのは、後半13分の相手のトライだった。攻め込んでチャンスを掴みながら、途中から交代出場の千布亮輔のパスが紙一重でインタセプトされ、一気にトライに結びつけられた。パスが通れば、逆にトライになっていただろう。
日野は最後まであきらめない。闘将プルが意地を見せてくれた。後半29分、ゴール前のラックの左サイドを突いて、3人の壁をぶち抜いた。その5分後も、連続攻撃からプルがラックサイドを突いた。魂の連続トライ。こちらの胸がスカッとした。
確かに、結局、日野は3トライ、ヤマハ8トライの大差となった。でも、希望の光は見えた。ディシプリンさえ改善されれば、我慢ができれば、もっと連携が取れれば…。
加えて、トップリーグ・デビューとなったFB吉川ほか、途中交代のプロップ加藤凌悠、ロック木村勇大には経験という財産ができた。これは大きい。
【HC、主将コメント】
箕内拓郎ヘッドコーチ
ここに来るまでのプロセスには非常に満足しています。結果は負けましたが、内容はチームの財産にはなっています。選手は最後まであきらめずに戦ってくれました。チームの成長を感じます。特にセットプレーの部分、ディフェンスの部分、接点の部分です。ただペナル改善していきたい。
オーガスティン・プル共同主将
負けはしましたが、チームとしてはいい方向に向かっています。全員のパフォーマンス、心構えには誇りを感じています。(2トライは)自分のファイティング・アクションからチームを引っ張っていこうと思いました。よかったという気持ちです。次は、チームとして、出したい。
(Text by 松瀬学)
晴天下の東大阪・花園ラグビー場。じゅうたんのごとき緑色の芝生が日差しに映える。キックオフ直後、CTBデブラシーニがタッチキックを蹴った際、股関節を痛めて、田邊秀樹と交代するアクシデント。飛距離の出るキックを持ち味とするデブラシーニを欠いたことで、キックを効果的に使っていくゲームプランを少し変えざるを得なかった。
そして、ディシプリンだ。日野は成長の跡を随所に見せてくれた。特に序盤、組織立って鋭く出るディフェンスはヤマハの攻めを寸断した。トップリーグ・デビューのFB吉川遼も懸命な戻りでトライを防いだ。攻めても、日本国籍を取得したSOクリップス・ヘイデンが何度もラインブレイク、FWは接点で健闘した。ヤマハ自慢のスクラムでも、日野の結束FWが何度も押し込んだ。
相手のドライビングモールも、ロックの北川俊澄が真ん中を割って潰した。これぞ、ベテランの味か。惜しかったのが、前半8分。SOクリップスがラインブレイク、SHプルがゴールラインに迫りながらも、もう一人が続かず、ボールを離さない反則を取られた。
このほかでも、ラインオフサイド、ハイタックルの反則を重ねる。ついに前半25分、ロックのクリシュナンが反則の繰り返しでシンビン(10分間の一時的退場)を取られた。数的不利になったところで、ヤマハの矢富兄弟のコンビでトライを奪われた。33分にもライン際をうまく走られてトライを追加された。
前半終了間際、北川がラックサイドを突いてゴールライン直前に迫ったところで、サポートのFLパーカー・アッシュが頭を下げて入ったということで反則を取られた。
ああ無情である。前半の反則は相手3本に対し、日野は10本を数えた。孤立するのは、連携が不足しているからだ。位置取りが悪く、我慢も足りないのだ。これでは、リズムに乗れない。前半を0-14で折り返した。
だが、日野は後半、反撃に転じた。3分、WTBチャンス・ペニーが相手パスミスのボールを拾って攻め、SHプルの約30㍍のロングパスからCTB片岡将が右ライン際を爆走してトライを返した。5-14とした。
ここで、スクラムの痛恨のコラプシング(故意に崩す行為)の反則が反撃ムードに水を差した。タッチキックを蹴られ、ラインアウトからのサインプレーでトライを許した。
勝敗の帰趨を決めたのは、後半13分の相手のトライだった。攻め込んでチャンスを掴みながら、途中から交代出場の千布亮輔のパスが紙一重でインタセプトされ、一気にトライに結びつけられた。パスが通れば、逆にトライになっていただろう。
日野は最後まであきらめない。闘将プルが意地を見せてくれた。後半29分、ゴール前のラックの左サイドを突いて、3人の壁をぶち抜いた。その5分後も、連続攻撃からプルがラックサイドを突いた。魂の連続トライ。こちらの胸がスカッとした。
確かに、結局、日野は3トライ、ヤマハ8トライの大差となった。でも、希望の光は見えた。ディシプリンさえ改善されれば、我慢ができれば、もっと連携が取れれば…。
加えて、トップリーグ・デビューとなったFB吉川ほか、途中交代のプロップ加藤凌悠、ロック木村勇大には経験という財産ができた。これは大きい。
【HC、主将コメント】
箕内拓郎ヘッドコーチ
ここに来るまでのプロセスには非常に満足しています。結果は負けましたが、内容はチームの財産にはなっています。選手は最後まであきらめずに戦ってくれました。チームの成長を感じます。特にセットプレーの部分、ディフェンスの部分、接点の部分です。ただペナル改善していきたい。
オーガスティン・プル共同主将
負けはしましたが、チームとしてはいい方向に向かっています。全員のパフォーマンス、心構えには誇りを感じています。(2トライは)自分のファイティング・アクションからチームを引っ張っていこうと思いました。よかったという気持ちです。次は、チームとして、出したい。
(Text by 松瀬学)